小説 テレビの付喪神の物語
テレビの付喪神誕生 井神智志の時代「あと少しで付喪神になれるのに……」1927年にテレビに「イ」と表示されてから90年以上がたった。2011年、アナログ放送が終了し、同時に液晶テレビへの買い替えでブラウン管テレビの時代が終わった。井神智志は疲れ切っていた。自分自身では普通のどこにでもいるようなサラリーマンだと思っていた。連日の残業と休日出勤で体は寝不足でボロボロになっていた。ゲームが好きだったが、遊ぶ時間も心の余裕もなくなっていた。自殺する気力すらなかったおかげで生きていた。そんな働き方をして一年と数ヶ月、井神はとうとう精神を病んだ。ミスだらけになり、まともにできなくなった仕事は申し訳なさから自ら退職した。しばらくはアパートに暮らしていたが、家賃のこともあり実家に戻った。何も手につかず一日をぼーっと寝て過ごすことが多かった。部屋の隅には古くなったブラウン管テレビが置いてあった。学生の頃に買った16インチの小さなテレビ。実家にの部屋に置いたままになっていた。テレビにはゲーム機がつながっていた。これも学生のときに買ったゲーム機だ。学生時代はいろいろなゲームをやっていた。格闘ゲームが流行って[続]>
