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書き散らかしたい
途中になってとまったりするつもり

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テレビの付喪神の物語

テレビの付喪神誕生 井神智志の時代 「あと少しで付喪神になれるのに……」 1927年にテレビに「イ」と表示されてから90年以上がたった。2011年、アナログ放送が終了し、同時に液晶テレビへの買い替えでブラウン管テレビの時代が終わった。 井神智志は疲れ切っていた。自分自身では普通のどこにでもいるようなサラリーマンだと思っていた。連日の残業と休日出勤で体は寝不足でボロボロになっていた。ゲームが好きだったが、遊ぶ時間も心の余裕もなくなっていた。自殺する気力すらなかったおかげで生きていた。そんな働き方をして一年と数ヶ月、井神はとうとう精神を病んだ。ミスだらけになり、まともにできなくなった仕事は申し訳なさから自ら退職した。しばらくはアパートに暮らしていたが、家賃のこともあり実家に戻った。何も手につかず一日をぼーっと寝て過ごすことが多かった。 部屋の隅には古くなったブラウン管テレビが置いてあった。学生の頃に買った16インチの小さなテレビ。実家にの部屋に置いたままになっていた。テレビにはゲーム機がつながっていた。これも学生のときに買ったゲーム機だ。学生時代はいろいろなゲームをやっていた。格闘ゲームが[続]>
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アンドロイドの作り方

赤いライトに照らされたプールに軽量超硬アルミ合金の骨格が沈められていく。  首の後ろからは何十本ものコードが飛び出し、その信号が映し出されたモニターでは、目視不可能な速度で数字が変化している。 「神経系は全て骨格に内蔵されている為、フェイズ1で、いきなり補助筋肉を合成します。この点が義体とアンドロイドの構築で一番異なる点です」  白衣に身を包んだ女性が、モニターを注視しながら説明する。彼女もアンドロイドであり、ワイヤレスでこの構築マシンを制御している。  今日は、メタヒューマンインダストリアルコーポレーションのアンドロイド構築見学会。  将来を担うエンジニアの卵達が、わいわいざわざわとしながらも最先端技術に感嘆のため息を漏らしている。  パチパチと小さな火花を上げながら、プールと骨格に電流が流れ始めフェイズ1の工程がスタートした。  電子を追いかけるようにナノマシンが並び、プールに溶け込んだタンパク質を使って腱を合成する。  腱が完成すると電流が止まり、骨格からのパルス信号を頼りにナノマシンが誘導され、腱の終端が骨と結合された。  続いて腱をガイドに筋肉が合成されていく。  合成速度は[続]>